関するものである。
 生産の均衡のこの状態は、交換の均衡の状態のように、理念的状態であって、現実の状態ではない。生産物の売価が生産用役から成る生産費に絶対的に等しいことはないであろう。それは生産用役または生産物の有効需要供給が絶対的に等しい事がないのと同様である。しかしその均衡は、交換に対してと同じように、生産に対して適用せられた自由競争の制度の下において、自ら落付くであろう所の状態であるという意味において、正常の状態である。自由競争の制度の下において、もしある企業のうちに生産物の売価が生産用役から成る生産費より大であれば、利益が生じ、企業者の出現を促し、または企業者はその生産を拡張し、その結果生産物の量は増加し、価格は下り、差益は減少する。そしてもしある企業において、生産用役から成る生産物の生産費が生産物の価格より小であれば、損失が生じ、企業者は減じ、または企業者はその生産を減少し、その結果生産物の量は減少し、価格は騰《あが》り、差損は減少する。しかし企業者が多数であることが生産の均衡を齎らすとしても、理論的にはこれのみがこの目的を達する唯一の方法ではなくして、生産用役をせり上げつつ
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