の講座の教授候補者となることをすすめ、また私がこの講座を占めてからは、絶えず私を激励して、経済学及び社会経済学の基礎的概論の公刊を始めることを得せしめた。この概論は独創的方法によって仕上げられた新しいプランに基《もとづ》いて組み立てられ、その結論もまた――あえていっておかねばならぬが――ある点において現在の経済学の結論と同一ではない。
「この概論は三部に分《わか》たれ、各部は一巻二分冊として出版せられるであろうが、それぞれの内容は次の如くであろう。
 第一部 純粋経済学要論すなわち社会的富の理論。
 第一編 経済学及び社会経済学の目的と分け方。第二編 交換の数学的理論。第三編 価値尺度財並びに貨幣について。第四編 富の生産及び消費の自然的理論。第五編 経済的進歩の条件と結果。第六編 社会の経済組織の諸形態の自然的必然的結果。
 第二部 応用経済学要論すなわち農工商業による富の生産の理論。
 第三部 社会経済学要論すなわち所有権と租税とによる富の分配の理論(二)[#「(二)」は行右小書き]。
「今ここに現われようとしているのは、第一巻の第一分冊である。これには、任意数の商品相互の交換の場
前へ 次へ
全572ページ中19ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
手塚 寿郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング