しまふのだといふのであるが、それでも主人は濱の鉋屑が飛ぶやうな態度でなあに一網引つ掛けりや譯はねえと埃のついたチヨン髷を振りまはして一向苦にならぬ樣子である。主人ががら/\いつては引き留めたがるが本當に麥飯と大根とそれから乾※[#「魚+是」、第4水準2−93−60]《ごまめ》ばかり噬つて我慢をしなければならぬから、あてもない濱は早速に去つてしまつた。鰯の頭一つも見えなかつたのである。
[#地から1字上げ](明治四十年三月八日發行、馬醉木 第四卷第一號所載)
底本:「長塚節全集 第二巻」春陽堂書店
1977(昭和52)年1月31日発行
入力:林 幸雄
校正:今井忠夫
2000年5月10日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング