いうて止《や》まねば成《な》らぬ。然《しか》しながら遂《つひ》に其《その》一|人《にん》が彼等《かれら》の間《あひだ》に發見《はつけん》されなかつた。彼等《かれら》の怨恨《うらみ》が凡《すべ》て勘次《かんじ》の一|身《しん》に聚《あつま》つた。それでも淡白《たんぱく》な彼等《かれら》の怨恨《うらみ》は三|人《にん》以上《いじやう》が聚《あつま》つて口《くち》を開《ひら》けば必《かなら》ず笑聲《せうせい》を絶《た》たぬ程《ほど》のものであつた。怨恨《うらみ》といふよりも焦燥《じれ》つたさであつた。おつぎの身體《からだ》には恁《か》うして事件《じけん》を惹《ひ》き起《おこ》すべき機會《きくわい》が與《あた》へられなかつた。それでも只《たつた》一人《ひとり》おつぎと手《て》を執《と》つて語《かた》ることにまで近《ちか》づき得《え》たものがあつた。勘次《かんじ》はどれ程《ほど》嚴重《げんぢう》にしてもおつぎが厠《かはや》に通《かよ》ふ時間《じかん》をさへ狹《せま》い庭《には》の夜《よ》の中《なか》へ放《はな》つことを拒《こば》むことは出來《でき》なかつた。執念深《しふねんぶか》い一|人《にん》
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