注《そゝ》ぐことによつて快《こゝよ》よい暖氣《だんき》を其《そ》の赤《あか》く成《な》つた足《あし》に感《かん》ずる樣《やう》に、僅少《きんせう》な或《ある》物《もの》が彼《かれ》の顏面《がんめん》の僻《ひが》んだ筋《すぢ》を伸《のべ》るに十|分《ぶん》であるのに、彼《かれ》は其《そ》の冷水《れいすゐ》の一|杯《ぱい》をさへ空《むな》しく求《もと》めつゝあつたのである。自然《しぜん》に形《かたちづく》られて居《ゐ》る階級《かいきふ》の相違《さうゐ》を有《いう》して居《ゐ》る者《もの》又《また》は長《なが》い間《あひだ》彼《かれ》の生活《せいくわつ》の内情《ないじやう》を知悉《ちしつ》して居《ゐ》る者《もの》からは彼《かれ》は同情《どうじやう》の眼《まなこ》を以《もつ》て視《み》られて居《ゐ》るけれども、こせ/\とした其《そ》の態度《たいど》と、狐疑《こぎ》して居《ゐ》るやうな其《その》容貌《ようばう》とは其處《そこ》に敢《あへ》て憎惡《ぞうを》すべき何物《なにもの》も存在《そんざい》して居《ゐ》ないにしても到底《たうてい》彼等《かれら》の伴侶《なかま》の凡《すべ》てと融和《ゆうわ》さる
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