と》が鬼怒川《きぬがは》へ落《お》ちて死《し》んだなんて大騷《おほさわ》ぎしたことが有《あ》つたつけねえ」
「さうでさ、餘《よ》つ程《ぽど》に成《な》りあんすがね、ありや鬼怒川《きぬがは》へ蚤《のみ》叩《はた》くつて行《い》つてそれつ切《き》りに成《な》つちやつたのせ」
「彦次《ひこじ》は實子《じつし》なんだね」
「えゝ、暫《しばら》く目《め》が不自由《ふじいう》で別《べつ》に小《ちひ》さく作《つく》つて隱居《いんきよ》してたんですが、蚤《のみ》は居《ゐ》た容子《ようす》なんでがすね、一|度《ど》なんざあ畑《はたけ》の側《そば》で叩《たて》えたら其處《そこ》ら通《とほ》つた人《ひと》みんなぞよ/\偃《は》ひ上《あが》られて酷《ひ》でえ目《め》に逢《あ》つたちんですから、そんで其處《そこ》らで叩《たて》えちや仕《し》やうねえからなんて云《い》はれたんでがせうね、それから何《なん》でも蓙《ござ》持《も》つて鬼怒川《きぬがは》さ行《ゆ》く積《つもり》に成《な》つたんでがすね、鬼怒川《きぬがは》までは有繋《まさが》餘《よ》つ程《ぽど》ありあんさね、足《あし》もとが本當《ほんたう》ぢやねえからず
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