あきら》かに形《かたち》を成《な》して居《ゐ》るのである。空《そら》からは暖《あたゝ》かい日光《につくわう》が招《まね》いて土《つち》からは長《なが》い手《て》がずん/\とさし扛《あ》げては更《さら》に長《なが》くさし扛《あ》げるので其《そ》の派手《はで》な花《はな》が麥《むぎ》や小麥《こむぎ》の穗《ほ》にも沒却《ぼつきやく》されることなく廣《ひろ》い野《の》を占《し》めるのである。おつぎも其《そ》の心部《しんぶ》に見《み》える蕾《つぼみ》であつた。然《しか》し其《その》蕾《つぼみ》はさし扛《あ》げられないのみではなく壓《おさ》へる手《て》の強《つよ》い力《ちから》が加《くは》へられてある。勘次《かんじ》は寸時《すんじ》もおつぎを自分《じぶん》の側《そば》から放《はな》すまいとして居《ゐ》る。隨《したが》つて空《そら》の日光《につくわう》が招《まね》くやうに女《をんな》の心《こゝろ》を促《うなが》すべき村《むら》の青年《せいねん》との間《あひだ》にはおつぎは何《なん》の關係《くわんけい》も繋《つな》がれなかつた。おつぎが十七といふ年齡《とし》を聞《き》いて孰《いづ》れも今更《いまさら》
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