當《ほんたう》だよ、卯平等《うへいら》も仕事《しごと》ぢや強《つを》かつたが、そりや強《つえ》えとも、そんだが此《こ》ら根性《こんじやう》やくざだから、疫病《やくびやう》くつゝいて太儀《こは》くつて仕《し》やうねえなんて、それから俺《お》れ、確乎《しつかり》しろツちへばどうも下痢《くだ》つちや力《ちから》拔《ぬ》けて仕《し》やうねえ、うん/\なんて唸《うな》つて、そんだがあん時《とき》にや嚊《かゝあ》は可哀相《かはいさう》なことしたな世間《せけん》の奴等《やつら》卯平《うへい》は嚊《かゝあ》に崇《とつつか》れべえなんちから心配《しんぺえ》すんなつて俺《お》れ云《ゆ》つたんだな、そんだが此《こ》ら根性《こんじやう》ねえから、俺《お》ら心配《しんぺえ》するもな大嫌《だえきれえ》だ、それ、心配《しんぺえ》しねえで一|杯《ぺえ》引《ひ》つ掛《か》けろつちんだ」爺《ぢい》さんは幾《いく》らでも乘地《のりぢ》になつてまくしかけた。
「さうだよおめえ、酒《さけ》の座敷《ざしき》でむつゝりしてるもな有《あ》るもんぢやねえ」
「婆《ばあ》さまの手《て》だつておめえ酒《さけ》ぢや酩酊《よつぱら》あからやつて見《み》さつせえよ」婆《ばあ》さん等《ら》は側《そば》から交互《たがひ》に杯《さかづき》を侑《すゝ》めた。彼等《かれら》は情《なさけ》なげな卯平《うへい》を慰《なぐさ》めようとするよりも、獨《ひとり》むつゝりとして居《ゐ》る彼《かれ》を伴侶《なかま》に引《ひ》つ込《こ》まうといふのと、變《かは》つて居《ゐ》る彼《かれ》の容子《ようす》に對《たい》して揶揄《からか》つても見《み》たいからとであつた。
「俺《お》ら錢《ぜね》出《だ》しもしねえで、他人《ひと》の酒《さけ》なんぞ」卯平《うへい》は口《くち》が粘《ねば》つて舌《した》が硬《こは》ばつたやうにいつた。
「おめえ管《かま》あもんぢやねえな、其※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《そんな》こと」婆《ばあ》さん等《ら》は又《また》いつた。
「酒代《さかで》足《た》んなけりや、こつちの方《はう》に寺錢《てらせん》出來《でき》てるよおめえ等《ら》」寶引《はうびき》の仲間《なかま》がこちらを顧《かへり》みていつた。
「要《え》らねえともそんな錢《ぜね》なんざ、俺《お》ら博奕《ばくち》なんざ何《なん》
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