だが、蛇《へび》でこすればえゝつちから、此《こ》ら甘《うめ》えこと聞《きい》たと思《おも》つてな、大《えけ》え青大將《あをだいしやう》ぶらんと※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》の木《き》からぶらさがつたから竹竿《たけざを》で掻《か》き落《おと》すべと思《おも》つたら、俺《お》ら家《ぢ》の婆奴等《ばゝめら》構《かま》あななんて云《ゆ》つけが、えゝから汝等《わツら》默《だま》つて見《み》てろ、なんてそれから俺《おれ》ぐうつと頭《あたま》ふん掴《づか》めえて、斯《か》う俺《お》れ背中《せなか》こすつたな、大《えけ》え青大將《あをだいしやう》だから畜生《ちきしやう》縮《ちゞま》つて屈曲《えんぢぐんぢ》した時《とき》や引《ひ》つ掛《かゝ》つて仲々《なかなか》動《いご》かねえだ、それからうゝんと引《ひ》き伸《のば》しちやこすつたな、さうしたら斯《か》う塊《かたまり》ごりつ/\とこけんの知《し》れたつけな、さうしたらなあにけろりよ」
彼《かれ》は一|同《どう》へ向《む》けた背中《せなか》へ手《て》を廻《まは》して
「此處《こゝ》らんとこに塊《かたまり》有《あつ》たのがだが、それつきり何處《どこ》さか行《い》つちやつたな、それから俺《お》れはあ、ようまづなんざ譯《わき》あねえつちつてんだ」彼《かれ》の手先《てさき》が脊椎《せきずゐ》に近《ちか》く觸《ふ》れた。
「おゝえやまあ、大《えけ》え灸《きう》の痕《あと》ぢやねえけえ」と一人《ひとり》の婆《ばあ》さんが驚《おどろ》いていつた。
「俺《お》らがな此《こ》んで三百|挺《ちやう》一|遍《ぺん》に火《ひい》點《つ》けたんだから、俺《お》らがむしやらなこと大好《だえすき》のがんだから、いや本當《ほんたう》だよ、俺《お》ら恁《こ》んで腹疫病《はらやくびやう》くつゝいた時《とき》だつて到頭《たうとう》寢《ね》ねえつちやつたかんな、今《いま》ぢや教《をさ》つてつから餓鬼奴等《がきめら》まで赤《せき》れえ病《びやう》だなんて知《し》つてんが、俺《お》ら壯《さかり》の頃《ころ》あ何《なん》でも疫病《やくびやう》と覺《おべ》えてたのがんだから、なあ卯平《うへい》、此《こ》ツ等《ら》もそん時《とき》やつたから知《し》つてらな、俺《お》ら一日《いちんち》に十六|度《ど》手水場《てうづば》へ行《い》つたの一|等《とう》だつけが、なあに
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