分で選んだ職業につくことを許してあげないと、怠け者になるおそれがあります。
「子どもたちが大きくなったこと以外には、あなたが家を出られてから、変ったことはほとんどありません。青い湖、雪を頂いた山々、そういうものはちっとも変っていません。――また、私たちの平和な家庭や充ち足りた心は、それと同じ不変の法則に支配されているとぞんじます。私は、こまごました仕事で、時間の経つのも知らず、それで慰められておりますし、どんなほねおりも、身のまわりに見るのは幸福で親切な顔だけだということで報いられるのです。あなたがそちらにいらしてから、私たちの小さな家庭に、一つだけ変ったことが起りました。ジュスチーヌ・モリッツが、どんな機会に私たちの家庭に加わったか、おぼえていらっしゃいますか。たぶん、ごぞんじでないでしょう。だから、簡単にこの人の身の上ばなしを申しあげます。この人の母親のモリッツ夫人は何人の子をかかえた未亡人で、ジュスチーヌはその三番目の子です。この子はいつも父親のお気に入りでしたが、母親のほうは妙に片意地を張ってその子をかわいがらず、モリッツさんが亡くなられてからはとてもひどく扱っていました。私の
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