ことを訊ねることで私のごぶさたを注意しただけであった。こつこつと研究を続けているあいだに、冬が過ぎ、春が過ぎ、夏がまた過ぎたが、私は花や伸びる木の葉にふりむきもしなかった。以前はそれを見るのがいつも無上の歓びだったのに、それほど仕事に夢中になっていたのだ。そして、仕事が終りに近づかないうちに、その年の木の葉も萎んでしまつたが、今では、日ごとに私がうまいぐあいに成功したことがますますはっきりしてきた。とはいえ、私の熱中ぶりも不安のために阻まれ、自分が好きな仕事に没頭する芸術家のようではなく、鉱山とか何かそのほかの健康にわるい商売に一生奴隷として働かされる人のような気がした。毎日、微熱に悩まされ、じつに傷ましいほど神経質になって、一枚の木の葉が落ちてもギョッとし、罪を犯した者のように仲間の人たちを避けるのであった。ときどき、自分が破滅に陥ったばあいのことを想像して驚くこともあった。自分の目的に費すエネルギーだけが、私を支えていたのだ。けれども、私の仕事もまもなく終るだろう。そうしたらたしかに、運動と娯楽でもって、病気になりかけている状態も一掃されるだろう。この創造が完成したら、二つともやる
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