ませる研究を廃棄した結果なのだ。それはこうして、私が、続けてやれば禍を、またそれに無頓着になれば幸福を連想させる、と教えられたことであった。
 それは、善の精神の強い努力ではあったが、むだなことであった。運命はあまりに強く、その不変の法律は、私のまったくの怖ろしい破滅を命じたのだ。


     3 運命の門出


 私が十七歳になると、両親は私をインゴルシュタット([#ここから割り注]南ドイツにあり、むかしバイエルン侯国に属した――訳註[#ここで割り注終わり])の大学に入れることに決めた。それまでジュネーヴの学校に通っていたが、父は私の教育をしあげるために、私が母国の慣習よりも他国のそれに親しんでおくことが必要だと考えたのだ。だから、私の出発はずっと前から決まっていたが、その日が来る前に、私の生涯に起った最初の不運、いわば私の将来の不幸の前兆が来てしまった。
 エリザベートが猖紅熱《しょうこうねつ》を患って、その病状が重く、危篤の状態にあった。その病気のあいだ、いろいろ相談して母に看病させないように説きつけた。母ははじめは私たちの懇願を聴き容れていたが、自分の娘も同然の者の命があぶな
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