えきれない苦しさに、私は堪えた。氷の巨大な突兀たる山々が、たびたびゆくてをはばみ、また、今にもおまえは死ぬぞと脅かすような、大海の轟きが、たびたび足もとに聞えてきた。しかし、厳寒がまたやってきて、安全な海の道を作ってくれた。
 自分の食べた食糧の量から見て、私はこの旅で三週間ほど過ごしたものと判断され、またまた、いつになったら望みがはたされるものやら、はてしがないような気がして、失意と悲しみのにがい涙をこぼした。私は、まさに絶望の餌食になって、この不幸のために今にも斃れそうだった。信じられないような辛苦に堪えて私を運んでいたかわいそうな動物たちが、ひとたび、傾斜する氷の山のてっぺんに達してから、一匹が疲れのために倒れて死んでしまったので、私は苦悶を湛えて眼の前の広漠たるひろがりを眺めたが、そのときとつぜん、私の眼は、薄暗い平原のかなたに、ひとつの黒点を捉えた。いったい何だろうかと目を凝らしてよく見ると、一台の橇と、夢にも忘れない畸形の姿が見わけられたので、私はむちゅうで、荒々しい叫び声をあげた。おお! どんな噴炎となって私の胸に望みがふたたび訪れたことだろう! 暖かな涙が眼に溢れたので
前へ 次へ
全393ページ中360ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
シェリー メアリー・ウォルストンクラフト の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング