乗った舟を見たが、乏しい星明りで見分けることができたかぎりでは、それは自分かさっき乗っていた舟と同じであった、と自信ありげに言った。
 一人の女の証言によると、この女は浜の近くに住んでいて、死体発見の話を聞く一時間ほど前に、自分の家の戸口に立って漁師の帰りを待っていたが、そのとき一人だけ乗った舟が、あとで死体の見つかったあたりの波うちぎわから出かけていくのを見た、ということだった。
 もう一人の女は、死体を家のなかに運びこんだという漁師の話を確証した。これによると、死体はまだ冷たくなかった。みんなで寝台に寝かしてこすってやり、ダニエルが町へ薬を買いに行ったが、そのうちにすっかり冷たくなった、ということだった。
 私の上陸のことで、ほかの数名の男が調べられたが、いずれも言い合せたように、昨夜はずっと強い北風が吹いたので、この男は何時間も吹きまくられて、出かけた所とほとんど同じ場所に戻されてしまったのにちがいはあるまい、と述べた。のみならず、この男は死体をほかの町から持ってきたと見え、ここの海岸を知らないために、この町から死体を棄てておいた場所までどれだけ隔たっているのかわからずに、港へ入
前へ 次へ
全393ページ中301ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
シェリー メアリー・ウォルストンクラフト の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング