、水上にもうしばらく居ることにし、舵をまっすぐの位置に固定して、舟の底に手足を伸ばした。雲が月を隠し、あらゆるものが、ぼんやりして、竜骨が波を切っていく時の舟の音しか耳に入らなかった。そのざわざわした音に寝かしつけられて、まもなく私は、ぐっすりと眠った。
いつからこんな状態でいたのかわからなかったが、眼をさました時には、陽はもうよほど高く昇っていた。風が強く、涙がたえずこの小さな舟の安全を脅かした。その風は北東風で、乗り出した岸からずっと私を吹き流してしまったにちがいない[#「ちがいない」は底本では「ちがい」]ことがわかった。向きを変えようとしてみたが、もしも、二度とそうしてみようとすれば、舟はたちどころに水浸しになることが、たちまちわかった。こうして、この立場にあっては、風のまにまに流されるしかなかった。白状するが、私はちょっと恐ろしく感じた。羅針盤はなかったし、この地方の地理をほとんど知らなかったので、太陽もあまり助けにならなかった。洋々たる大西洋に吹き流されて、あらゆる飢餓の苦しみを感じるかもしれないし、まわりで哮えたける巨大な水に呑みこまれるかもしれなかった。もうずいぶん時間
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