の場所として、オークニー群島中のいちばんはずれの島に腰をおちつけた。それは、岩といったほうがよいくらいな、高いほうの側がたえず波に打たれる島で、こういう仕事にはふさわしい場所だった。土地は痩せていて、かろうじて数頭のみすぼらしい牛を飼う草地と、五人しかない住民の食べるオートミルとがあるだけで、この人たちの痩せこけて骨ばった手足が、そのまま食料の乏しさを語っていた。珍らしいごちそうの野菜やパンばかりでなく、清水でさえも、五マイルも離れた本土から持って来なければならないのだった。
 島全体で、みすぼらしい小屋が三軒あるだけで、しかもその一軒が空いていた。それを借りたわけであるが、それにたった二つの部屋があるだけで、しかもそれは見るかげもなく荒れはてたむさくるしい代物だった。草葺きの屋根は落ち、壁は塗りがはげ、扉の蝶つがいははずれていた。私はそれを修繕させ、家具を少しばかり持ち込んでそこに住むことにした。これは島の人々の意識が欠乏とむごたらしい貧困のためにすっかり麻痺していなかったならば、かなり意外なことに思われたにちがいない。しかし、食べものや着ものを少しばかりくれてやってもお礼も言わない
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