った。それは、自分が歓びを享けるように造られていなかったことを、いっそう痛ましく感じさせるものだったのだ。
「しかし、わたしの旅も終りに近づき、それから二箇月後にはジュネーヴの郊外に着いた。
「着いたのは夕方だったが、まわりの野原に身を隠すところを見つけて、どうしたらあんたに会って頼めるかを思案した。わたしは疲労と空腹に参ってしまい、あまりにみじめだったので、夕方のそよそよした風や、雄大なジュラ山脈のむこうに沈む太陽の光景などは、楽しむどころの沙汰ではなかった。
「このとき、すこしばかりまどろんで、こういう苦しい考えからのがれたが、その眠りは一人のきれいな子がやってきたためにさえぎられた。その子はいかにも幼い者らしく喜々として戯れながら、わたしの隠れていた物陰に走り寄って来たが、それを見たとたんに、わたしは、こんな小さい者なら偏見をもつまい、生れてまだまもないのだから畸形をこわがりはすまい、という考えに捉えられた。そこで、この子をつかまえて、自分の仲間として教えこむことができたら、人の住むこの地上でこれほどさびしくはなくなるだろう。
「こういう衝動に襲われて、わたしは、通り過ぎるところ
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