したらフランス政府にさっそく引き渡されるだろう、ということを大急ぎで語った。そこで自分は、コンスタンチノープルに行く船を傭っておいたから、数時間のうちにそこへ向って出帆すると、いうのであった。娘は、腹心の召使に世話させることにして後に残し、まだリヴォルノに着いていない財産の大部分をもって、あとでゆっくり自分のあとを追って行かせるつもりであった。
「ひとりになると、サフィーは、このばあい自分の取るべき行動の計画を心のなかで決めた。トルコに住むのはいやなことで、自分の宗教も、感情も、同様にそれに反対した。自分の手に落ちた父の書類から、恋人が国外に追放されたことを聞き、その後に住んでいる地点の名を知ったとき、しばらく躊躇はしたものの、とうとう決心した。自分のものである宝石をいくらかと金を少しばかり持ち、リヴォルノの土地の者ではあるが日常のトルコ語を解する娘を供にして、ドイツに向けて出発した。
「サフィーは、ド・ラセーの家から二十四、五里ばかり離れた町まで無事に辿り着いたが、そのとき供の者が病気になって危篤に陥ってしまった。サフィーはできるかぎりの献身的な愛情をこめて介抱したが、きのどくなこと
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