約束したので、フェリクスもそのことを期待していっしょにとどまり、そのあいだ、ごくあどけない、やさしい愛情を見せるサフィーとの交際を楽しんだ。二人は通訳者を介して、またときには眼にものを言わせて、話をしあい、サフィーは自分の国のすてきな歌をうたって聞かせた。
「トルコ人は二人がこのように親しくなるのをそのままにしておき、若い恋人たちの望みを力づけたが、腹のなかではずっと違った計画を立てていた。自分の娘がキリスト教徒といっしょになるという考えが、がまんのならぬことだったが、冷淡だと思われてはフェリクスの怒りを買うおそれがあった。というのは、みんなの居るこのイタリアの政府に密告することを選ぶことだってやれるかぎり、まだ自分がフェリクスの勢力下にあるのだ、ということを知っていたからだ。そこで、その必要がもはやなくなるまであいてを瞞すことを引きのばし、いざ出発という時にこっそり娘をつれていけるようなさまざまな計画を決めた。その計画は、パリから来た便りのおかげでやりやすくなった。
「フランスの政府は、死刑囚の脱走にひどく怒り、手を貸した者を見つけ出して懲罰するためには労を惜しまなかった。フェリクス
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