に区別しはじめた。わたしはだんだん、水を飲ましてくれる清らかな流れや、わたしを葉で覆う木々がはっきり見えるようになった。たびたび耳に入ってくる気もちのよい音が、再々わたしの眼から光を遮った小さな翼のある動物の喉から出る、ということが、はじめてわかって喜んだ。わたしはまた、身のまわりの形を、ごく正確に観察しはじめ、わたしに覆いかぶさる輝かしい光の屋根の境目に気づいた。ときには、鳥の楽しい歌をまねようとしたが、できかねた。ときには、自分の感情を自己流に表わそうと思ったが、自分から出た異様なわけのわからぬ声にびっくりして、また黙り込んだ。
「月は夜になっても見えなくなったが、わたしがまだその森にいるうちに、虧けた形でまた現われた。このころには、感覚がはっきりしてきたし、頭には日ごとに観念がふえてきた。眼が光に慣れてきて、正しい形に物が見え、昆虫と草の区別がわかり、そのうちにだんだん、草の種類を見わけるようになった。雀が耳ざわりな音でしか鳴らないのに、鶫《つぐみ》の類が甘美な、心をそそるような声で鳴くこともわかった。
「ある日、寒さにかじかんでいるとき、どこかの宿なし乞食たちが残していった火を
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