が経っていたので、燃えるような渇きの苦しみを感じたが、それはそのほかの苦痛の前ぶれであった。空を見上げると、あとからあとから来ては飛んでいく雲に蔽われていた。海を眺めたが、それは私の墓場になるはずの場所であった。私は叫んだ、「畜生め、おまえの仕事は、もう終ったぞ!」私は、エリザベートのこと、父のこと、またクレルヴァルのことを考えた。みんなあとに残るのだが、その人たちに対して怪物は、血に飢えた無慈悲な欲情を満足させるだろう。こう考えると、絶望的な怖ろしい妄想に捉えられた。その場面が眼の前で永久に終りを告げようとする今でさえ、そのことを考えると戦慄するのだ。
 何時間かがこうして過ぎ去ったが、太陽が水平線に傾くにつれて、だんだん風が衰えて微風となり、海には砕ける白浪がなくなった。しかし、そのかわりに大きなうねりが出てきた。私は舟に酔って、舵につかまっているのがやっとだったが、そのとき、とつぜん、南のほうの水平線に陸地が糸のようになって見えた。
 へとへとになって、数時間も恐ろしい不安に堪えてきたので、精も根も尽きはててしまったが、いまだしぬけに、だいじょうぶ助かるというみこみがついて、暖かい血のように喜びが胸に溢れ、眼から涙がほとばしった。
 私たちの気もちはなんと変りやすく、はなはだしい苦境にあってさえ、私たちのしがみつく生命への愛着は、なんと妙なものだろう! 私は着物を裂いてもう一つ帆をこしらえ、いっしょうけんめいに陸に向けて舵を取った。それは見たところ荒れた岩だらけの陸であったが、だんだん近づくにつれて、耕作のあとがすぐみとめられた。岸の近くには船が見えたので、開けた人間の住むところにいきなり伴れもどされたことがわかった。私は注意ぶかく曲りくねった岸に洽うて歩き、ついに小さな岬のむこうに突き出ている尖塔を見つけた。私はひどく衰弱した状態にあったので、いちばんたやすく栄養物を手に入れることのできる場所として、その町へ向ってさっそく舟を漕いでいった。さいわいに金は持っていた。岬を廻ると、小さなさっぱりした町と、よい港が見えたので、思いがけなく助かった喜びに胸をはずませながら、その港に入っていった。
 舟をつなぎ、帆を始末していると、数人の人々がその場に集まって来た。その人たちは、私が現われたのをたいへんいぶかしくおもっているらしく、私をちっとも手助けしないで、ほかの時
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