は、自分が造られる前にできた契約を守ることを拒むかもしれない。二人はたがいに憎みさえするかもしれず、すでに生きているほうの怪物が、自分の畸形を嫌っているのに、それが、女の姿で眼の前に現われるとしたら、もっともっと嫌悪するかもしれないではないか。女のほうもまた、人間のすぐれた美しさに比べて、男を嫌ってそっぽを向くかもしれないし、男を捨てるかもしれない。そうすれば、男はまた、ひとりぼっちになり、自分と同種のものに見棄てられたという新しい挑発に激昂するかもしれない。
二人がヨーロッパを離れて新大陸の荒野に住むにしても、あの魔ものが渇望している同感の最初の結果は子どもの生れることだろうが、そうすれば、この悪魔の一族か地上に繁殖して、人間の存在そのものを、不安な、恐怖にみちた状態にしてしまうかもしれない。私は、自分の利益のために、この呪咀をどこまでもつぎつぎと続く世代にかぶせてしまう権利があるだろうか。前には、自分がつくった者の詭弁に乗せられ、そのものすごい脅迫のおかげで、うっかりばかげたことを言ってしまったが、今はじめて、あの約束のまちがっていることがわかり、これから先の世の人々が、私というものを、自分たちの疫病神として呪うだろう、と考えて身慄い[#「身慄い」は底本では「身慓い」]した。この私は、利己的な立場から、おそらく人間全体の存在を犠牲にして、一身の平和を購うことを躊躇しなかった、ということになるのだ。
私は身慄いし、気が挫けた。と、そのとき、眼をあげると、月のあかりで、窓のところに例の悪魔の姿が見えた。腰かけて当てがい仕事をしている私を眺めながら、そいつの唇はものすごい笑いにひきつった。そうだ、私の旅について来たのだ。森のなかをうろついたり、洞穴に身をひそめたり、広い殺風景な荒蕪地に避難したりして、いま私の進捗ぶりに気をつけ、約束を果してくれと言いに来たのだ。
見れば、その顔には、極度の悪意と不信が現われていた。私は逆上して、こいつと同じようなものをもう一つ造るなんて約束したのかと考え、激情に身を慄わせながら、造りかけたものをこなごなに打ち砕いてしまった。怪物に、自分のこのさきの幸福はそれが居るかどうかできまると考えていたものを、私が壊してしまったのを見て、悪鬼のような絶望と復讐のわめき声をあげて引き下がった。
私は部屋を出て、扉に鍵をかけ、この仕事を二度と
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