いているのを見ると、頭のすこし赤いアオゲラというキツツキや、白いぶちが黒い羽についていて腹の赤いアカゲラというのが多いようだ。キツツキのほかには何の小鳥か、朝はやくや、夕方うすぐらくなるころ、のきしたにつるしてあるいろいろの青ものの実や、草の実をついばみにくる小鳥がいる。朝まだねている時、障子のそとでとびまわるその羽の音が、まるで枕もとでとんでいるように近くきこえる。なんだかかわゆらしい。わたしは小鳥におこされて、目をこすりながらおきあがる。キジやヤマドリは秋には多く見かけるが雪がふるとあまりこない。遠くの沼にはカモがおりて鳴きごえだけがよくきこえる。
生きものといえば、夜になるとネズミがくる。ジネズミというのか、ハツカネズミか、ふつうのイエネズミよりも小さくて、人をおそれないネズミがはるばる雪の上を遠くからかよってくる。わたしの坐っているまわりをはしりながら、たたみにこぼれているものをひろってたべる。紙につつんでわきにおいてあるパンをたべようとして紙をくわえてひっぱる。わたしが手でたたみをたたくとびっくりしたような顔をして、とんぼがえりをして又ひっぱる。こんなに人なつこいと、アンツ
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