ったら冬のつよい西風の吹雪にふきとばされてしまうだろう。
 雪が屋根の上にあつくつもると重たくなり、そのままにしておくと、春が近づいて雨がふった時、水をふくんでますます重くなって小屋がつぶれてしまう。それで一二度は雪おろしをする。大ていクリスマスの後あたりに一度やる。屋根へ上って平たいシャベルで雪をおろすと、窓の前に雪の小山ができる。わたしはいつも新年には国旗を立てるが、四角な紙にポスターカラーで赤いまんまるをかいて、それを棒のさきにのりではり、窓の前の雪の小山にその棒をさす。まっ白な雪の小山の上の赤い日の丸は実にきれいで、さわやかだ。空が青くはれているとなおさらうつくしい。



底本:「昭和文学全集第4巻」小学館
   1989(平成元)年4月1日初版第1刷発行
底本の親本:「高村光太郎全集第10巻」筑摩書房
   1958(昭和33)年3月10日初版第1刷発行
入力:kompass
校正:門田裕志
2006年11月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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