精神の造型的顕現の特質は幾多の起伏を超えて今新らしくわれわれの未現の世界に於いて再び精神の造型化にあらわれようとしている。われわれは一切を包摂し、融合して、進んで全一のコスモス的美の世界像を創建せねばならぬ。人類の持つ高次の彫刻性に二あるわけはない。それは恐らく星の世界に行っても同じであろう。その高次の彫刻性の一つの彫刻的あらわれとして殆と完璧《かんぺき》に近いミケランジェロの諸作を仔細《しさい》に点検することはわれわれの造型的意識に力と滋味とを与える。此の異邦の芸術の中にある民族的限界を超えた境地を観る者はたのしいかなと思わざるを得ない。
底本:「昭和文学全集第4巻」小学館
1989(平成元)年4月1日初版第1刷発行
1994(平成5)年9月10日初版第2刷発行
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2006年11月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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