何であるかをたしかめようとしている巨大な実験である。この機構を貫いてアメリカ全知識機構が政治に奉仕しようとしているともいえるのである。
 省みれば、幾世紀かにわたって政治よりの遊離に嘆いた知識人達は、いつの日にか、かかる組織的政治機構ができるかと夢みたことであろう。民衆が民衆自身でつくる法律を、議会の組織の中で自分達知識人の助けによって作りあげる日をいかに夢みたであろうか。美事に整理された調査資料が個人的記憶にかわり、熱心な委員会が個人的思惟にかわり、協力精神に充ちた組織が個人的健康にかわって、巨大なる組織的知識人として、政治そのものに密着する日を私達もまた思わずにはいられないのである。



底本:「論理とその実践――組織論から図書館像へ――」てんびん社
   1972(昭和47)年11月20日第1刷発行
   1976(昭和51)年3月20日第2刷発行
初出:「改造」
   1948(昭和23)年12月号
入力:鈴木厚司
校正:宮元淳一
2005年6月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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