的構成が高度化していることを見のがしてはならない。
 研究調査業務のスピード化の一つとして、図書館がレファレンス業務を営むこともあげらるべきだろう。実用主義の国アメリカでは、図書館が単に文献の格納庫ではなく、この眠れる宝庫を活かすためにレファレンス業務が活発におこなわれている。アメリカの議会図書館に調査立法考査局があって、国会へのサーヴィスを担当していることは有名であるが、国会以外にも一般に対して偉大なサーヴィスをしている。昨年のような国防に急を告げる時期には、軍関係の人々の数百人からなる調査班(例えば朝鮮調査班、満州調査班など)が組織されて、議会図書館で各種の調査をしているとのことである。
 横の連絡、事務の機械化、これらの環境の下にあっては、もはや個人単位の名人芸がものをいう余地は極めて局限される。個人単位から集団単位へ、孤立から組織へ、名人芸から機械化・スピード化へ、といったことが重要となる。
 米欧諸国の調査研究機関のあり方や調査方法などにも、もちろん幾多の欠陥はあろう。だが、それらの点については一応眼をつぶって、先進諸国における調査研究機関の基本的な発展方向を描いてみれば、右
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