型の大量の労働者が集合して生産に従事し、同質的・均一的な製品を大量に生産するようになった。大量の生産、スピードある生産をなすには、工場制工業でなければならない。工場制工業は、その生産技術においても、またその経営技術においても、たえず新機軸を採用し、合理化しつつ、その能率を高めてきた。産業革命に端を発した生産能率の革命は、やがて社会のすべての分野に浸透して、社会生活全体の能率が高められてきた。これらの点において、東洋諸国は西洋の先進諸国に比して、はるかにたちおくれている。戦前までの日本は、東洋の中では最も生産能率の高い国であったが、しかし一部の輸出工業や軍需工業の高能率とは雲泥の相違のある低能率の農業に、人口の半分もが従事しているという、跛行的な進化の状態であった。社会全体がバランスして能率化している、という先進国の形態にはなお大きな隔たりがあった。

 2

 高度の産業技術を基盤として成り立っている現代社会の構造は、複雑であり、かつその動きはスピード化されておる。かかる環境の中にあっては、個人の「かん」とか「はら」で仕事をすることは不正確で誤算が多く、結局は失敗して淘汰されてしまう。
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