き立てている政治よりも、ひそかに通過して、百年の後に目には見えないが、いつの間にか、国民をやわらかい日光でつつむような幸せに人々を抱く政治が、一番立派で、そして温かい政治である。そしてそれは、「一隅を照らす」灯のように、点々と次々に燃え広がるやさしい、そして、美しい燎原の火ともなるのである。一つの国が、他の国が、そして世界がその温かさをわけもつような大きい大きい政治が、ほんとうの政治である。
この度の図書館法も、このしめやかではあるが、堂々と流れる大河の寂けさに似て、そのもつ政治力は、ゴーゴーの声で通っている幾多の法案よりも、遙かに遙かに巨大な法案なのである。なるほど財的保障はあるかなきかにささやかである。しかし、一本の芽は、決して、ガラスのかけらではない。それは伸びゆく生ける芽である。百年の後には、しんしんと大空を摩す大樹となる、一本の芽である。私達はこころから、この法案の通過に和やかなる拍手を、遠い遠い文化の未来に向って送るものである。
円らな眼、紅い頬の村々の少年と少女の手に、よい本が送られて、たがいにひっつきあって喰い入るように読みあっている姿を、確実な幻として描くことがで
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