課題はより大きく眼前に横たわっている。すなわちそれは、大衆に奉仕することは、図書館が大組織体として民族を打って一丸とする人造人間のような機構となることである。
全国の図書館のカードを一目に見ることのできる綜合目録、統一されたる印刷カードの普及等、まさに今出発したるところである。
公共図書館と、学校図書館は、その協議体を協同的二大組織として、選書およびカード操作において、その歩調をととのえるべきである。
出版界も、新聞界も、この組織網のバックアップとして、その力を糾合し、その販売網の対象として強力なる組織体として援助されたいのである。七千の公民館は、図書館の萌芽として、その形を眼前にととのえつつあるのである。
かくて、公共図書館が村々に一万の数を数え、学校図書館が四万五千の組織をもって、敏活な委員会をもってつながるとき、私は東亜十ヵ国の人々に、読書を通じてその偉容を誇り、何人の前にも恥ずることなき文化の一等国への道をきり開くことができるのである。
いつまでも、わが民族は一野蛮国としての図書館の処女地であってはならない、文化の瑞穂の国であらねばならない。
[#地付き]*『出版ニュース』一九五一年十月上旬号
底本:「中井正一全集 第四巻 文化と集団の論理」美術出版社
1981(昭和56)年5月25日第1刷
初出:「出版ニュース」
1951(昭和26)年10月上旬号
入力:鈴木厚司
校正:富田倫生
2009年3月16日作成
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