の労働階級の状態について』、[#「』、」は底本では「、』」]一六頁
 思うに、いかなる諸事情の下においても、資本の増加は労働に対する需要の増加を伴わないであろう、と考えることは容易でない。せいぜい言い得ることは、需要は逓減的比率にある、ということである。バアトン氏は上記の著書において、思うに、固定資本の分量の増加が労働階級の境遇に及ぼす影響のあるものについて、正しい見解をとっている。彼れの論文は多くの価値多い記述を有っている。
[#ここで字下げ終わり]
 私は前に、貨物で測定された純所得の増加――それは常に機械の改良の結果であるが、――が新しい貯蓄と蓄積とに導くであろうということもまた述べた。かかる貯蓄は、記憶すべきことであるが、毎年のことであり、そしてまもなく、初めに機械の発明によって失われた総収入よりも遥かにより[#「より」に傍点]大なる基金を造り出すはずであるが、その時には、労働に対する需要の大きさは以前と同一になり、そして人民の境遇は、増加せる純収入がなお彼らをしてなすを得せしめる貯蓄の増加によって、更により[#「より」に傍点]以上改善されるであろう。
 機械の使用は、一国家において、決して安全に阻まれ得ない、けだしもし我国において機械の使用が支えるべき最大の純収入を得ることが許されないならば、資本は海外に運ばれるからであり、そしてこのことは、機械の最も広汎な使用以上に重大な労働の需要に対する阻害であるに相違ない。何となれば、資本が我国において使用されている間は、それは労働に対する需要を創造するに相違ないからである。機械は人間の助力なくしては運転され得ず、それは彼らの労働の貢献なくしては製造され得ない。資本の一部分を改良された機械に投ずれば、労働に対する逓増的需要には減少が起るであろうが、それを他国に輸出すれば、需要は皆無に帰するであろう。
 貨物の価格もまたその生産費によって左右される。改良された機械の使用によって貨物の生産費は減少され、従ってそれは外国市場においてより[#「より」に傍点]低廉な価格で売られ得る。しかしながらすべての他国が機械の使用を奨励しているのにこれを拒否するならば、自国の財貨の自然価格が他国の価値にまで下落するまで、外国の財貨と引換に貨幣を輸出せざるを得ないこととなる。かかる国々と交換をなすに当って、我国において二日の労働を費した貨物を、外国において一日の労働を費した貨物に対して与えることとなり、そしてこの不利益な交換は自己自身の行為の結果たるものである。けだし輸出されかつ二日の労働を費されている貨物は、隣国人がより[#「より」に傍点]賢明にその作用を専用した所の機械の使用を拒否しなかった場合には、単に一日の労働が費されたに過ぎなかったものであるからである。
[#改ページ]

    第三十二章 地代についてのマルサス氏の意見

(一四四)地代の性質については本書の前の場所でかなり長く取扱ったけれども、しかも私は、私には誤っているように思われ、かつそれが今日のすべての人の中で、経済学のある部門が負うこと最も多き人の著作において見出されるためにより[#「より」に傍点]重要である所の、この問題に関するある意見に、触れるべきであると考える。マルサス氏の人口に関する試論について、私は賞讃の意を表現すべき機会がここに与えられたことを、幸福とする。この大著作に対する反対論者の攻撃は、単に彼れの強みを説明したに過ぎなかった。そして私は、その正当な名声は、この書がもって飾る所の経済学の進歩と共に拡がり行くことを確信するのである。マルサス氏はまた、地代に関する諸原理を十分に説明し、そしてそれは耕作されている種々なる土地の肥沃度または位置についての相対的便益に比例して騰落することを説明し、ひいては以前には全く知られていなかったかまたは極めて不完全にしか理解されていなかった地代の問題に関聯する多くの難点に、多くの光明を投じたのである。しかし彼は二三の誤謬に陥っているように思われるが、これを指摘することは彼が権威ある学者であるためにより[#「より」に傍点]必要であり、他方彼の性来の淡白のためにこのことはさほど不快ではなくなる。これらの誤謬の一つは、地代をもって、明かな利益でありかつ富の新創造である、と想像することにある。
 私は地代に関するビウキャナン氏のすべての意見には同意しないが、しかし、マルサス氏によって彼れの著書から引用された章句中に現れているものには、全く同意する。従って私は、それに対するマルサス氏の評論には反対しなければならない。
『かく観ずれば、それ(地代)は、社会の資本に対する一般的附加をなすことは出来ない、けだし、問題の純剰余は一つの階級から他の階級に移転された収入に他ならないからであり、またそれがか
前へ 次へ
全173ページ中160ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
リカードウ デイヴィッド の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング