アデイル卿によって、現行の造幣規則をもってすれば英蘭《イングランド》銀行は正金でその銀行券を支払うことが出来ないであろうが、けだし二金属の相対価値は、その債務を金ではなく銀で支払うのがすべての債務者の利益であるというような高さにあるのに、他方法律は、銀行のすべての債権者に銀行券と引換えに金を要求する力を与えたがためである、と主張された。卿は、この金は有利に輸出され得ると考え、そしてもしそれが事実ならば、銀行は、供給を維持するために、不断にプレミアム附《つき》で金を購買しかつそれを平価で売らざるを得ない、と彼は主張している。もしあらゆる他の債務者が銀で支払い得るならばロオダアデイル卿は正しいであろうが、しかし債務者はその債務が四〇シリングを超過するならば、銀で支払い得ない。かくてこのことは流通している銀貨の額を制限するであろう。(もし政府が、それが便宜と考える時にはいつでも、その金属の鋳造を中止する力を保留しておかなかったならば。)けだしもし余りに多くの銀が鋳造されるならば、それは金に対する相対価値において下落し、そして何人も、そのより[#「より」に傍点]低い価値に対して補償がなされない限り、四〇シリングを超過する債務に対する支払においてそれを受入れぬであろうからである。一〇〇|磅《ポンド》の債務を支払うためには百のソヴァレイン金貨か一〇〇|磅《ポンド》に当る銀行券が必要であろうが、しかし、銀貨の流通額が余りに多い場合には、銀貨で一〇五|磅《ポンド》が必要とされるであろう。かくて銀貨の分量の過剰に対しては二つの抑制がある、その第一は、政府がより[#「より」に傍点]以上の鋳造を妨げるためにいつでもなし得る直接的妨げであり、第二に、いかなる利害の動機も、何人をしても銀を造幣局に持ち運ばせない――たとえ彼にそれが出来ても――であろうが、けだしそれが鋳造されるとしてもそれはその造幣価値では通用せず、単にその市場価値で通用するに過ぎないからである。
[#ここで字下げ終わり]
 適度の造幣料に対しては多くの反対はあり得ず、より[#「より」に傍点]少額の支払をなすための通貨に対するものについては特にそうである。貨幣は一般に造幣料の全額だけ価値において高まり、従ってそれは、貨幣の量が過剰でない間は、それを支払う者に決して影響を与えない租税である。しかしながら、紙幣制度が設けられている国においては、かかる紙幣の発行はその所持人の要求次第それを正金で支払う義務を有つとはいえ、しかも、彼らの銀行券も鋳貨も共に、紙幣の流通を制限する妨げが働かないうちに、唯一の法貨たる鋳貨に対する造幣料の全額だけ減価されるべきことを、述べなければならない。もし金貨の造幣料が例えば五%であるならば、通貨は、銀行券の濫発によってそれを地金に熔解するために鋳貨を要求するのが銀行券の所持人の利益となるに先立って、実際五%だけ減価されるであろうが、これは金貨に対して何らの造幣料もないか、または造幣料が課せられたとしても、銀行券の所持人がそれと引換えに、鋳貨ではなく地金を、三|磅《ポンド》一七シリング一〇ペンス二分の一の造幣価格で請求し得る場合には、吾々が決して曝されることなき減価である。かくて英蘭《イングランド》銀行が所持人の欲するままに、その銀行券を地金または鋳貨で支払うべく強制されていない限り、銀貨に対して六%すなわち一オンスにつき四ペンスの造幣料を課するが、しかし金は全然無料で造幣局に鋳造させるということを命ずる所の、最近の法律は、最も有効に通貨の不必要な変動を予防するであろうから、おそらく最も適当なものであろう。
[#改ページ]

    第二十八章 富国及び貧国における、金、穀物、及び労働の比較価値について

(一三一)アダム・スミスは曰く、『金及び銀は、すべての他の貨物と同様に、最高の価格がそれに支払われる市場を当然に求める。そしてこの最高の価格は、これを支払う余裕が最もある国においてあらゆる物に与えられる。労働はあらゆる物に対して支払われる窮極的価格であることを、記憶しなければならない。そして労働の報酬が等しくよい国においては、労働の貨幣価格は労働者の生活資料のそれに比例するであろう。しかし金及び銀は、貧国よりも富国において、生活資料の供給が相当でしかない国よりもそれを豊富に有っている国において、より[#「より」に傍点]多量の生活資料と当然交換されるであろう。』
 しかし穀物は、金、銀、その他の物と同様に一貨物である。従ってもしすべての貨物が富国において高い交換価値を有つならば、穀物はそれから除外されるはずはない。従って吾々は、穀物は高価であるから多量の貨幣と交換されたのであり、また貨幣もそれが高価であるから多量の穀物と交換されたのであると、正しく言い得ようが、これ
前へ 次へ
全173ページ中150ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
リカードウ デイヴィッド の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング