ナは、労賃を騰貴せしめることによって、利潤を下落せしめるであろうから、それらはすべて、たとえその程度は等しくなくとも、同一の結果を伴うであろう。
 国内製造業を大いに進歩せしめる機械の発明は、常に、貨幣の相対価値を高め従ってその輸入を奨励する傾向を有っている。貨物の製造業者かまたは栽培業者かに対する一切の障害の増加たる一切の課税は、これに反し、貨幣の相対価値を低め従ってその輸出を奨励する傾向を有っているのである。
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    第十六章 労賃に対する租税

(七九)労賃に対する租税は労賃を騰貴せしめ、従って資本の利潤率を低下せしめるであろう。吾々は既に、必要品に対する租税はその価格を騰貴せしめ、そして労賃の騰貴を伴うであろう、ということを見た。必要品に対する租税と労賃に対する租税との間の唯一の差異は、前者は必然的に必要品の価格の騰貴を伴うであろうが、しかし後者はそれを伴わないであろうということである。従って労賃に対する租税に対しては、株主も、地主も、または労働の雇傭主を除く他のいかなる階級も、納税しないであろう。労賃に対する租税は全然利潤に対する租税であり、必要品に対する租税は一部分は利潤に対する租税であり、そして一部分は富める消費者に対する租税である。しからばかかる租税から生ずべき窮極的の結果は、利潤に対する直接税から生ずるそれと正確に同一である。
 アダム・スミスは曰く、『下級労働者階級の労賃は、どこにおいても必然的に、二つの異る事情、すなわち労働に対する需要及び食料品の通常価格または平均価格によって左右されるということを、私は第一篇において説明せんと努めた。労働に対する需要は、それがたまたま静止的であるかまたは減退しつつあるかに従って、またそれが、増加しつつある、静止的なる、または減退しつつある人口を必要とするに従って、労働者の生活資料を左右し、そしていかなる程度においてそれを豊富に、適当に、または稀少ならしめるかを決定する。食料品の通常価格または平均価格[#「通常価格または平均価格」に傍点]は、労働者をして、年々この豊富な適当なまたは稀少な生活資料を購買し得しめるために、彼に支払われねばならぬ貨幣量を決定する。従って労働に対する需要と食料品の価格が引続き同一である間は、労働の労賃に対する直接税は労賃をこの租税よりもややより[#「より」に傍点]高く騰貴せしめる以外の結果を有ち得ない。』(編者註)
 (編者註)『諸国民の富』第五篇、第二章(訳者註――キャナン版、第二巻、三四八頁)。
(八〇)ここにスミス博士によって展開されている命題に対して、ビウキャナン氏は二つの反対論を提出している。第一に彼は労働の貨幣労賃は食料品の価格によって左右されるということを否定する。また第二に彼は労働の労賃に対する租税は労働の価格を騰貴せしめるであろうということを否定する。第一の点については、ビウキャナン氏の議論は次の如くである、五九頁(編者註)『労働の労賃は、既に述べた所であるが、貨幣から成るものではなく、貨幣が購買する所のもの、すなわち食料品及びその他の必要品から成る。そして共通の貯財からの労働者への給与は常にその供給に比例するであろう。食料品が低廉にして豊富なる[#「低廉にして豊富なる」に傍点]所では彼れの分前はより[#「より」に傍点]多くそしてそれが稀少にして高価なる[#「稀少にして高価なる」に傍点]所ではそれはより[#「より」に傍点]少いであろう。彼れの労賃は常に彼に正当な分前を与えるであろうが、、彼にそれ以上を与えることは出来ない。労働の貨幣価格は食料品の貨幣価格によって左右され、そして食料品が価格において騰貴する時には労賃はそれに比例して騰貴するというのは、実に、スミス博士及び大抵の他の論者の採る意見である。しかし労働の価格が食物の価格と何らの必然的な関聯をも有たないことは明かである。けだしそれは全然需要と比較しての労働者の供給に依存するからである。しかのみならず、食料品の高い価格は供給の不足の確実な徴候であり、そして事物の自然の行程において消費を妨げる目的をもって起るものであることを、考えなければならない。食物のより[#「より」に傍点]小なる供給が同一数の消費者に分たれるならば、明かに各人にはより[#「より」に傍点]小なる分前しか残らず、そして労働者は共通の欠乏に対する彼れの分前を負担しなければならない。この負担を平等に分配し、そして労働者が以前の如く自由に生活資料を消費するのを妨げるために、価格は騰貴するのである。しかし労賃は、彼が依然として、より[#「より」に傍点]稀少な貨物の中の同一分量を用い得るために、それと共に騰貴しなければならないように見える。そこでかくて自然は、まず最初には消費を減少せしめるために、食物
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