髀鼾と、同一の原理によって左右されるであろう。そしてあらゆる他の場合において、もし資本が最も有利に用いられ得る国へ自由に流入するならば、利潤率の差違はあり得ず、また貨物が売却されるべき種々なる市場へそれを運搬するに必要な労働量の附加以外の、貨物の真実価格すなわち労働価格の差違はあり得ないであろう。
 しかしながら経験は、その所有者の直接的統制下にない時の資本の想像上のまたは真実の不安固と、並びにあらゆる人が自ら生れかつ諸関係を有っている国を棄てて彼れの固定せる習慣の一切を持ちながら異る政府と新しい法律とに身を委ねることを嫌う自然的性情は、資本の移出を妨げるものであることを、示している。かかる感情は、私はそれが弱められるのは遺憾なことと思うが大部分の財産家をして、外国民の間で彼らの富に対するより[#「より」に傍点]有利な用途を求めるよりもむしろ、自国内で低い利潤率に満足せしめるのである。
(四八)金と銀は流通の一般的媒介物に選ばれているから、それらは商業上の競争によって、もしかかる金属が存在せずかつ諸国間の貿易が純粋に物々交換である場合に発生すべき自然的交易に適応する如き比例において、世界の種々なる国々の間に分配されている。
 かくて毛織布は、ポルトガルにおいてはその輸出国において値するよりもより[#「より」に傍点]多くの金に対して売れない限り、ポルトガルに輸入され得ない。そして葡萄酒は、英国においてはそれがポルトガルにおいて値するよりもより[#「より」に傍点]多くに対して売れない限り、英国には輸入され得ない。もし貿易が純粋に物々交換であるならば、英国が葡萄を栽培するよりも毛織布を製造することによって、一定量の労働をもってより[#「より」に傍点]大なる分量の葡萄酒を取得するほどに毛織布を低廉に製造し得る間だけ、そしてまたポルトガルの産業が反対の結果を伴う間だけ、それは継続し得るであろう。さて英国が葡萄酒製造の一行程を発見し、そのためにそれを輸入するよりもそれを造った方がその利益となったと仮定しよう。この国は当然その資本の一部分を外国貿易から内国商業に移すであろう。この国は輸出のための毛織布の製造を止め、自ら葡萄酒を造るであろう。これらの貨物の貨幣価格はこれにつれて左右されるであろう。我国においては葡萄酒は下落するであろうが、毛織布はその以前の価格に止っているであろうし、またポルトガルにおいてはいずれの貨物の価格にも何らの変動も起らないであろう。毛織布は引続きある時期の間我国から輸出されるであろうが、それはけだしその価格が、我国よりもポルトガルにおいて引続きより[#「より」に傍点]高いからである。しかし葡萄酒の代りに貨幣がそれと交換に与えられついに我国における貨幣の蓄積と外国におけるその減少とが、両国における毛織布の相対価値に影響を及ぼし、ためにその輸出がもはや有利ではなくなるに至るであろう。もしも葡萄酒製造上の改良が極めて重要なる種類のものであるならば、両国にとり職業を交換することが有利となり、英国にとっては両国が消費するすべての葡萄酒を、ポルトガルにとっては両国が消費するすべての毛織布を、製造することが有利となるであろう。しかしこのことは、英国においては毛織布の価格を引上げポルトガルにおいてはそれを引下げるべき貴金属の新たな分配、によってのみなされるであろう。葡萄酒の相対価格はその製造上の改良から起る真実の利益の結果として英国において下落するであろう。換言すればその自然価格は下落するであろう。毛織布の相対価格は貨幣の蓄積により英国において騰貴するであろう。
 かくて、英国における葡萄酒製造の改良の前に、葡萄酒の価格が我国において一樽につき五〇|磅《ポンド》であり、そして一定分量の毛織布の価格が四五|磅《ポンド》であり、他方ポルトガルにおいては、同一量の葡萄酒の価格は四五|磅《ポンド》であり、そして同一量の毛織布のそれは五〇|磅《ポンド》であると仮定すれば、葡萄酒は五|磅《ポンド》の利潤をもってポルトガルから輸出され、そして毛織布は同一額の利潤をもって英国から輸出されるであろう。
(四九)改良の後に、葡萄酒は英国において四五|磅《ポンド》に下落し、毛織布は引続き同一の価格にあると仮定せよ。商業におけるあらゆる取引は独立の取引である。一商人が英国において毛織布を四五|磅《ポンド》で買いかつポルトガルにおいてそれを通常の利潤をもって売ることが出来る間は、彼れは引続き英国からそれを輸出するであろう。彼れの営業は単に、英国の毛織布を購買し、そして彼がポルトガルの貨幣をもって買入れる為替手形でそれに対し支払をなすことである。彼れの取引は疑いもなく、彼がそれによってこの手形を取得し得る条件によって左右されるが、しかしその条件はその時彼に判
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