ュをもって獲得し得る魚が減少するならば、魚は比較価値において騰貴するであろう。かくて魚は、その一定量を得るのにより[#「より」に傍点]多くのまたはより[#「より」に傍点]少い労働が必要とされるという理由のみによって、交換価値において騰落するであろう。そしてそれは、必要な労働量の増加または減少の比例以上には決して騰落し得ないであろう。
かくてもし吾々がそれによって他の貨物における変動を測り得る不変の標準を有っているとするならば、貨物が、仮定にあるような事情の下において生産されるとした時に、それらの貨物が永続的に騰貴し得る最高限度は、その生産に必要とされる附加的労働量に比例し、かつより[#「より」に傍点]以上の労働がその生産に必要とされない限り、それはいかなる程度にも騰貴し得ないことを、見出すであろう。労賃の騰貴は、貨物を、貨幣価値においても、またその生産に何らの附加的労働量を必要とせず、かつ同一比例の固定資本及び流動資本を、また同一耐久力の固定資本を、使用した所の、ある他の貨物との比較においても、その価値を騰貴せしめないであろう。もし他の貨物の生産により[#「より」に傍点]多くのまたはより[#「より」に傍点]少い労働が必要とされるならば、吾々の既に述べた如く、このことは直ちにその相対価値に変動を惹起すであろうが、しかしかかる変動は必要労働量の変動によるものであって、労賃の騰貴によるものではないのである。
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第四節 貨物の生産に投ぜられた労働の分量がその相対価値を左右するという原理は、機械その他の固定的かつ耐久的な資本の使用によって著しく修正される。
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(一七)前節においては、吾々は、鹿及び鮭を殺すに必要な器具及び武器の耐久力は等しく、かつ同一労働量の結果であると仮定し、そして鹿及び鮭の相対価値における変動は、一にそれを獲得するに必要な労働量の変動に依存するものであることを見た、――しかし社会のあらゆる状態においては、種々なる事業に用いられる道具や器具や建物や機械は、耐久力の程度を異にし、そしてそれを生産するに種々異った労働量を必要とするであろう。労働を支持すべき資本と、道具や機械や建物に投下される資本との比例もまた、種々異って組合わされるであろう。固定資本の耐久度におけるかかる相違、及び二種類の
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