Iな徴収をより[#「より」に傍点]利益あることとし、かつ節約の全部がそれ自身の利益になるであろうから救助を少ししか分配しないことをより[#「より」に傍点]利益あることとしているのである。
 吾々は、救貧法が未だこの国の全純収入を吸収してしまっていないという事実を、この原因に帰しなければならぬ。それが驚くべく圧制的になっていないことの理由は、その適用が厳正であることにある。もし法律によって、生計に困っているあらゆる者に確実に生計を得しめ、しかも生活を相当に愉楽ならしめる程度に生計を得しめることが出来るならば、理論は吾々を導いて、他の租税を全部合せてもこの救貧税という単一の租税と比較して軽微なものであろうと、期待せしめるであろう。かかる法律が、富と力とを貧と弱とに変え、労働の努力を単なる生活資料供給の目的以外のあらゆる目的から引離し、すべての知的優越を無にし、精神を絶えず肉体的欲求物の供給に忙殺せしめ、ついに一切の階級を一般的貧困という悪疫にかからせる、という傾向のあることは、重力の原理と同様に確実である。幸にしてかかる法律は、労働維持のための基金が規則正しく増加し、かつ人口の増加が自然的に必要とされた所の、進歩的繁栄期に、行われ来った。しかしもし吾々の進歩がより[#「より」に傍点]遅くなるならば、もし吾々が静止的状態――吾々はかかる状態からはなお未だ遠く隔っていると私は信ずるが――に達するならば、その時にこの法律の有害な性質はより[#「より」に傍点]明かにかつ脅威的になり、またその時にはこの法律の廃止は多くのより[#「より」に傍点]以上の困難によって妨害されるであろう。
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    第六章 利潤について

(四二)資本の利潤は、種々なる職業において、相互に一つの比例を保ち、かつすべて同一の程度にかつ同一の方向に変動する傾向を有つことが、説明されたから、利潤率の永続的変動、及びそれに従って起る利子率における永続的変動の原因は何であるか、を考察することが、吾々にとって残っていることになる。
 吾々は、穀物の価格(註)が資本のうち地代を何ら支払わない部分をもってそれを生産するに必要な労働量、によって左右されることを、見た。吾々はまた、すべての製造貨物は、その生産に必要となる労働の大小に比例して、価格において騰落することも、見た。価格を左右する質(訳者註)の土地
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