ェシリング六ペンス
費さしめるであろう。
[#ここで字下げ終わり]
 穀物が高くなるに比例して、彼はより[#「より」に傍点]少い穀物労賃を受取るであろうが、しかし彼れの貨幣労賃は常に増加するであろう。他方彼れの享楽品は上の仮定によれば正確に同一であろう。しかし、粗生生産物が他の貨物の構成に参加するに比例してそれは価格において引上げられるであろうから、彼はそのあるものに対しより[#「より」に傍点]多くを支払わなければならぬであろう。彼れの茶や砂糖や石鹸や蝋燭や家賃はおそらく決してより[#「より」に傍点]高くはならないであろうけれども、彼はそのベイコンやチイズやバタや亜麻布や靴や毛織布に対して、より[#「より」に傍点]多くを支払うであろう。従って右の如き労賃の騰貴をもってしても、彼れの境遇は比較的にはより[#「より」に傍点]悪くなるであろう。
(四〇)しかし私は、金すなわち貨幣の材料たる金属は労賃の変動した国の生産物である、という仮定の上で、価格に及ぼす労賃の影響を考察しつつあったし、また金は外国で生産された金属であるから、私が演繹した結論は事物の実情とほとんど一致しない、といわれるかもしれない。しかしながら、金が外国の生産物であるという事情は、議論の真理を無効ならしめることはないであろう、けだしそれが国内において見出されようともまた外国から輸入されようとも、結果は窮極的にしかも実に直接的にも同一であろうということが、証明され得ようからである。
 労賃が騰貴する時には、それは一般に、富及び資本の増加が確実に貨物の生産増加を伴うべき労働に対する新需要を齎したからなのである。これらの増加せる貨物を流通させるためには、以前と同一の価格においてですら、より[#「より」に傍点]多くの貨幣が貨幣の材料であり、そして輸入によってのみ取得され得る所のこの外国貨物のより[#「より」に傍点]多くが、必要とされる。一貨物が以前よりもより[#「より」に傍点]多くの分量において必要とされる時には常に、その相対価値は、それでこの貨物の購買がなされる他の貨物に比較して騰貴する。もしより[#「より」に傍点]多くの帽子が求められる時には、その価格は騰貴し、そしてより[#「より」に傍点]多くの金が、それに対して与えられるであろう。もしより[#「より」に傍点]多くの金が必要とされるならば、金は価格において騰
前へ 次へ
全346ページ中78ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
リカードウ デイヴィッド の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング