ソすることのない、一時的諸結果を十分認めたのであるから、吾々は、これらの偶発的原因とは全然無関係な諸結果たる、自然価格、自然労賃及び自然利潤を左右する法則を取扱う間は、それを全然度外視するであろう(編者註二)。しからば貨物の交換価値すなわちある一貨物が有つ購買力について論ずるに当っては、私は常に、ある一時的なまたは偶発的な原因によって妨げられないならばそれが有するであろう所のその力を意味するのであり、そしてそれはその自然価格である。
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(編者註一)第一巻。
(編者註二)『あなたは常に特定の変化の直接のかつ一時的の諸結果を心に画《えが》いているが、しかるに私はこれらの直接のかつ一時的の諸結果を全然度外視し、そして私の全注意を、それから結果するであろう所の永久的な事物の状態に固着させている。おそらくあなたはこれらの一時的諸結果を余りに高く評価し過ぎているが、しかるに私は余りにそれらを過少評価せんとする気になっているのである。』――マルサスへのリカアドウの書簡、一八一七年一月二十四日。書簡集、一二七頁。
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第五章 労賃について
(三五)労働は、売買され、かつ量において増減され得るすべての他の物と同じく、その自然価格とその市場価格とを有っている。労働の自然価格とは、労働者をして共に生存しかつその種族を増加も減少もせずに永続し得せしめるに必要な価格である。
労働者が、彼自身、及び労働者の数を維持するに必要であろう所の家族を、支持する力は、彼が労賃として受取る貨幣量には依存するものではなくて、その貨幣が購買するであろう所の、慣習により彼に不可欠となってなっている食物、必要品、及び便利品の量に依存するものである。従って労働の自然価格は、労働者及び彼れの家族の支持に必要とされる食物、必要品、及び便利品の価格に依存する。食物及び必要品の価格の騰貴と共に労働の自然価格は騰貴し、その価格の下落と共に、労働の自然価格は下落するであろう。
社会の進歩と共に、労働の自然価格は常に騰貴する傾向を有っているが、けだしそれによってその自然価格が左右される主たる貨物の一つが、その生産の困難の増大によって、より[#「より」に傍点]高くなる傾向を有つからである。しかしながら、農業における改良そこから食物が輸入される新市場の発見は、必要
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