痰ノは大小があるが、一国のあらゆる種々なる事業によって用いられている。おそらくいかに富んでいても、その事業を彼自身の資本だけでなし得る範囲内にのみ限る製造業者はないであろう、彼は常にこの流動資本のある部分を有し、それは彼れの貨物に対する需要の活溌《かっぱつ》性に応じ増減しつつある。絹布に対する需要が増加し、毛織布に対するそれが減少する時には、毛織布業者は、彼れの資本と共に絹織業には移らずに、彼れの労働者の若干を解雇し、銀行業者や金持からの貸金に対する需要を止める。他方絹布製造業者の場合は反対である。彼はより[#「より」に傍点]多くの労働者を使用せんと欲し、かくて借入に対する彼れの動機は増加する。彼はより[#「より」に傍点]多くを借入れ、かくて資本は、一製造業者がその常職業を止める必要なしに、一職業から他のそれに移転される。吾々が大都市の市場に注目し、そしていかに規則正しく、それが、趣味の変遷や人口数の変化から起るあらゆる事情の下において、国内のまたは外国の貨物の必要な分量の供給を受け、しかも余りに豊富な供給による滞貨や供給が需要に等しくないことから起る著しく高い価格という諸結果をしばしば生ずることのないのを観察する時には、吾々は、資本を事業に、そのまさに必要とする分量において割当てる所の原理が、一般に想像されているよりもより[#「より」に傍点]活溌に働いていることを、認めなければならないのである。
(三四)一資本家は、その資金に対して有利な用途を探し求めるに当り、一つの職業が他の職業以上に有つ所のすべての得点を、当然考慮に入れるであろう。従って彼は、一つの職業が他の職業以上に有つ所の、安固や清潔や容易やその他の実際のまたは想像上の得点を考慮して、その貨幣利潤の一部分を喜んで抛棄することもあろう。
 もし、かかる事情についての考慮によって、資本の利潤が調整され、その結果一つの事業においては利潤は二〇%、ある他の事業においては二五%、またある他の事業においては三〇%となるならば、これらはおそらく引続き永久的に、この相対的差異を、そしてこの差異のみを、維持するであろう。けだしもし何らかの原因がこれらの事業の一つにおける利潤を一〇%だけ引上げたとしても、しかもかかる利潤は一時的であってまもなく再びその通常の地位に復帰するか、または他の職業の利潤が同一の比例において引上げられ
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