するの態度に非ずやと。党派政治と立憲政治とを混同する党人は、動もすれば此の言を為して侯を議せむとせり。然れども是れ恐らくは侯を誤解するものならむ。蓋し侯は党派に殉ぜざると同じく、亦藩閥にも殉ぜざるの政治家なり。侯にして藩閥に殉ずるほどの愚人ならば初めより政友会を組織する如き無益の労苦を為すの謂れなく、さりとて党派に殉ずるには、侯の思想は余りに経世的なり。侯は藩閥を超越すると共に党派をも超越して、高く自ら地歩を占めたり。是れ侯が党人に喜ばれざる所ある如くに、又た藩閥者流にも嫌はるゝ所ある原因なり。侯は国家の元老たる身分を自覚するがゆゑに、時としては党派の側に立ちて藩閥と争ふことあるべく、時としては藩閥の忠言者と為りて党人の疑惑を惹き起すことあるべく、則ち今囘の和協問題の如き其一発現なりといふも可也。要するに侯は近かき将来までは、暫らく政界の大導師として、朝野政治家の過失を矯正するを任務とするの最も適当なるを見る、是れ侯の如き有力なる元老が国家に対する最高の義務なるべし。
若し夫れ政界の革新を号呼して、漫に元老を無用視する党人輩は、是れ未だ政界の現状を領解せざるものなり。欧洲立憲国には固
前へ
次へ
全350ページ中64ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング