、移して以て日本のチヤムバーレーンたる尾崎氏の行動を判断するの参考と為さむと欲す。故に特に其の大要を此に訳載したるのみ。
(五)交渉の失敗
政友会が各種の要素を収容せむとして、諸ろの方面に交渉したる画策は大抵失敗に終れり。最も与し易しと為したる貴族院研究会すら、宣言及綱領には賛成なれども研究会の会則は会員をして他の団体に加はるを禁ぜりとの口実に依りて入会を拒絶し、初めより伊藤侯の属望したる実業家の如きも、東京大阪に於ける高級分子は、亦皆入会を避けて其の薬籠中の物とならず。而して其来り投ずるものは、大抵政治を以て営利の目的を達せむとする政商か、若くは中流以下の地方実業家のみ。侯の失望亦以て察すべし。
元来侯が実業家を収容せむとするの画策は、既に選挙法改正案提出の時に成り、而して其の改正案を成立せしむるが為めには、或は当局者として之れを議院に論じ、或は自ら貴族院の議席に就て之れを論じ、或は地方を遊説して其の所見を発表し、以て市の独立、市民の投票権拡張を主張したるは、蓋し亦実業家を味方として政界に立たむとするの後図に非るはなかりき。此の点に付て井上伯は深く侯の苦衷を諒とし、
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