决議を為したりき。然れども各国の政府及び識者は、概して清国の保全、東洋の平和を声明したるを以て、公の唱道せる大旨義は、殆ど世界の公論たるに至れり。即ち夫の英独協商の如きは亦清国の領土保全門戸開放を以て原則としたるものなりき。
 英独協商の成立したる時は、帝国の内閣は政友会を以て組織し、伊藤侯は実に之れが首相たりき。而して政友会は初め国民同盟会の行動を非認したるに拘らず、其の内閣は英独協商の原則を容認して之れに加入したれば、内閣と国民同盟会とは、其の旨義に於て遂に一致するを見たりき。
 然れども露国は満洲の情形不穏にして鉄道保護の必要ありと称して、兵力を以て之れを占領し、尋で露国関東総督アレキシーフと盛京将軍増祺との間に、満洲に関する密約締結せられたりとの報ありしがゆゑに、公は同盟会員を私邸に招集し、我政府をして満洲占領の撤兵及び露清密約の成立に反対するの方法を執らしめむことを決議したりき。
 既にして露清特約更に露都に於て成立を告げむとするや、公は清国の大官重臣に警告するに、極力特約に抗拒すべきを以てし、我政府も亦公等の主張を容れて、露国政府に露清特約を廃棄すべしと忠告すると同時に、清
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