れ立憲政治の発達史上殆ど免がる可からざるの経過なり、さりながら我輩の見る所に依れば、政党内閣を今日に建設するは敢て難事に非ず、必ずしも絶対的多数の大政党出づるの後を俟たざるなり、今一人の有力なる政治家ありて、純然たる政党内閣を建設せよ、絶対的多数の大政党は、必らず此れと同時に出現せむ、要は斯る英断ある政治家の自ら起つに在り、今の政治家動もすれば絶対的多数の大政党なきを以て政党内閣組織の最大要件を欠けるものといふと雖も、是れ取るに足らざる俗論のみ、蓋し絶対的多数の大政党は、自ら行政権を把握するの冀望あるに於て始めて出現す可し、単に立法部たる議会に於て絶対的多数の大政党出現せむことを期するは、是れ猶ほ搭載す可き船舶なくして、漫に貨物を港湾に集めむとするが如し、若し真に政党を基礎とするの内閣を組織する政治家あれば、主義政見の異同に依りて天下必らず二大政党に分かれむ、二大政党に分かれざれば、政党終に行政権を把握するの時期なければなり、是れ我輩が朝野の政治家に向て大に警告せむとする所なり。
※[#始め二重括弧、1−2−54]三十一※[#終わり二重括弧、1−2−55]
山県相公閣下
前へ
次へ
全350ページ中239ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング