何ぞや、彼等は以為らく、第十五議会の形勢にして若し閣下に利非ずとせむか、即ち断然議会を解散し改正選挙法に依りて進歩自由の両党と争ひ大に選挙干渉を行ふて多数の御用代議士を選出せしむること敢て難しと為さず、而も尚ほ不幸にして議会の多数を制すること能はずむば、内閣は此の時を以て始めて総辞職の挙に出づるも未だ晩からず、而して是れ実に立憲政治家の責任に背かざるの名を得るに庶幾しと、意気頗る正大なるに似たりと雖も、斯くの如きは主義あり政綱ある政党内閣に於て言ふ可く、単に閣下の内閣を維持して其の恩恵の下に生存せむとする属僚等の言ふ可き所に非ざるを奈何せむや、さりながら閣下亦自ら其運命の窮せるものあるを知らざる可からず、葢し自由党が今日まで閣下に盲従したるは、唯だ伊藤侯の起たざるを以てのみ、苟も侯にして自ら起つて自由党を率ひば、閣下の内閣は鎧袖一たび触れて忽ち倒れたりしや久しきなり、而も侯の容易に起つの色なきは、自由党の組織が侯の理想に適合せざるが為にして、自由党にして真に能く侯の理想を摂取するの内容を有せば、侯或は自由党に入りて其の首領たるを辞するものに非じ、但だ自由党の内容は、侯の理想を摂取するに
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