政党内閣時代に於て、既に岡崎邦輔氏の媒介に依りて星亨氏と相識り、爾来横浜海面埋立事件にも、市街鉄道問題にも、常に星氏の秘密協議を受けて、次第に相接近し来れるものなり、即ち此の三閣僚は閣下の為に、屡絶えむとしたる自由党の提携を維持し得て今日に到りたるに於て、閣下にして単に帝国党を頼みて自由党を無視するが如き行動に出でむか、閣下は先づ此の三閣僚と併び立つこと能はざるに至る可きは自然の傾向なり、而して閣下の行動は往々之に類するものあるを以て、今や自由党は漸く閣下の内閣に向て鼎の軽重を問はむとするの意向を表現したるに非ずや、所謂る局面展開論の如き実に此の意向の表現に外ならじ。
相公閣下、閣下の最大謬見は、唯だ議院政略を以て能事と為し、金銭若くは其の他の利益を懸けて自由党を操縦せむとしたるに在り、顧ふに現時の自由党は殆ど腐敗の極度に達したるに於て、閣下の議院政略が其弱点に投じて十二分の成功ありしは、我輩と雖も亦之を認ざるに非ず、さりながら自由党員の中には亦多少時勢の要を識る者なきに非ざるが故に、単に閣下の内閣に盲従して永く藩閥の奴隷たるに満足せざる人物亦少なきに非ず、彼等は閣下と共に到底立憲政
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