やうとするものは、自由党よりも改進党に赴くの傾向があつた。
 ※[#丸中黒、1−3−26]併し伯の東奔西走の労苦は空しからず、追々自由党の勢力は拡がつて、地方の政治的地図の大部分は、自由党に依て占領せられた。今の政友会が政党中で最も幅を利かして居るのは伯の植ゑ付けた苗木の伸びたのに過ぎない。
 ※[#丸中黒、1−3−26]伯の事業として特筆すべきものは即ちこれであつて、明治の政党史を編するものは、必らず伯の為に多くの頁数を割愛せねばならぬと考へる。
 ※[#丸中黒、1−3−26]勿論議会開設後の自由党は、最早自由民権論といふやうな理想ばかりで動いて居る訳には往かない。政党の仕事は、重に議会の掛引で空理空論よりも実際問題を処置せねばならぬ。そこで自由党は次第に板垣伯の指導に満足しなくなつた。伯も亦余り政治には熱心でなかつたやうで、事実をいへば、唯だ名ばかりの首領であつた。
 ※[#丸中黒、1−3−26]星亨の如き腕白者が自由党の実権を握つたのも、即ち其の為めであつて、伯の政治生涯は此の時代には既に終りを告げて居つたのである。
 ※[#丸中黒、1−3−26]伊藤侯が政友会を組織して自由党を
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