としたもので、其の人に党すれば位地を得る望みがあると考へる野心家とか、若くは其の人に首領的器局があつて何となく群衆を引き付ける所があるので、従つて人物を崇拝するものとかゞ結合した団体である。然るに伯は自分の部下となるものに青雲の志を遂げしむる勢力と手腕とを持つては居らなかつた。又群衆を引き付ける首領的器局を備へた人でもないやうである。
※[#丸中黒、1−3−26]伯は巧みに風雲を指麾し、機会を利用して権勢を博取する故後藤伯の智略を欠いて居る。伯は利害を打算して進退する策士でないから、功名を懐ふものは伯の旗下に集らなかつた。たとひ一たび伯の門を潜つても大抵は失望して逃げ出すものが多かつたやうである。
※[#丸中黒、1−3−26]且つ伯は自由民権論の大宗師で、理論に於ては平民主義を信じて居つたに相違ないが、伯自身は平民らしくなく、寧ろ貴族風の人といふものがある。
※[#丸中黒、1−3−26]それから伯は極めて潔癖で、憤りつぽくて、人を容るゝの量に富んだ方でもない。又赤心を人の腹中に預けて置て毫も疑はぬやうの英雄収攬術には頗る欠けて居るらしい。曾て馬場辰猪、大石正巳、末広重恭などが伯と
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