政党に入るの愚を為さむや。
抑も進歩党の急要なる問題は、総理の廃立に非ずして、其の主義綱領が時勢に適するや否やを講究するに在り。余を以て之れを観れば、進歩党が久しく逆境に沈淪したるは、進歩党の自ら招く所にして、独り之れを大隈伯に責むべき理由はあらず。蓋し進歩党は、智弁能力に富めるに於て、遠く政友会の上に出づるに拘らず、其の割合に党勢の振はざるは他なし、進歩党の主義政策は十年一日の如く些しの変化なければなり。近代の政治は国際競争《ナシヨナル、ストラツグル》を本位として組織せられ、且つ運用せられつゝあり。然るに進歩党は徹頭徹尾党派本位の思想を以て行動しつゝあり。今や国民として成功せむとせば、国民的勢力の総べての要素を発達せしめざる可からず。国際競争の未だ激烈ならざる時代に在ては、国内に於ける階級の争闘、権力の与奪は実に政治家の重なる仕事なりき。然れども近代の国際競争は、国民的勢力の集中を必要とするが故に、階級の争闘、権力の与奪を目的としたる政治は、最早時代と両立し得べからざるに至れり。其の結果として立法行政に於ける科学的組織の広大なる発達となり、国民を一体としたる新愛国心の勃興と為り、従
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