ず※[#白ゴマ、1−3−29]彼れは多くの懸賞問題を未来に有せり※[#白ゴマ、1−3−29]彼れは任重く道遠く、其期する所のものは固より未来の成功に在らむ※[#白ゴマ、1−3−29]今日豈輙すく彼れの人物を評論するを得むや※[#白ゴマ、1−3−29]然れども彼れが初期の公人的歴史は、其善く彼れの人物性格を説明したる点に於て、実に彼れの一代記の序言たる可き意義を有せり、乃ち其一は彼れが統御の器あることを説明し、其第二は彼れが公平忠忱の情に富めるを説明し、其第三は彼れが自任自信の極めて高きを説明し、其第四は彼れが謹慎にして責任を重むずるを説明し、其第五は彼れが主義定見を守るの固きを説明せり※[#白ゴマ、1−3−29]然らば彼れの人物亦豈観察し得可からざらむや。
統御の器
彼れが欧洲より帰るや、久しからずして帝国議会開会せられ、彼れは憲法より与へられたる特権に依りて貴族院の一席を占めたり※[#白ゴマ、1−3−29]当時貴族院には、或は学識を以て、或は勲功を以て、或は閲歴を以て、既に世に聞えたる先輩の士甚だ多くして、彼れは恰も大人群中の小児の如き観ありき※[#白ゴマ、1−3−29]則ち誰れか此小児が大人を統御し得るの器を具へたるを知るものあらむや※[#白ゴマ、1−3−29]此を以て時の貴族院議長伊藤博文が、偶々故ありて自ら事を観る能はざるに際し、彼れを仮議長として指名するや、満場皆其意外に驚かざる莫く、中には冷笑を以て彼れを迎へたるものありしと雖も、彼は何の遅疑する所なくして議長の椅子に就きたり※[#白ゴマ、1−3−29]満場は再び意外の感に打たれたりき※[#白ゴマ、1−3−29]何となれば彼れの安詳沈着たる態度明敏果断なる処置は、自然に議長たるの伎倆を示したればなり。
松方内閣成るや、彼は遂に議長に勅選せられて第十議会に膺りたりき※[#白ゴマ、1−3−29]彼れが議長としての伎倆は益々世間に認識せられたりき※[#白ゴマ、1−3−29]彼れの政敵は彼れを呼で圧制議長といひ、彼れの政友は亦彼れが余りに公平なるを喜ばざりしと雖も、其善く議場を整理し、善く討論を指導したるに至ては、恐くは帝国議会あつてより、貴族院第一流の議長ならむ、統御の器あるに非ずして何ぞや。
忠忱の人
彼れは久しく貴族院に於ける硬派の首領たり※[#白ゴマ、1−3−29]第一期
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