の為に試験せられつゝあるなり、此の試験にして自由党の予期したる如き結果を見ざれば、自由党は如何なる手段を使用しても其当初の目的を達せずむば休止せざる可し、而して閣下は今や一方に於ては官属主義の属僚に擁せられ、一方に於ては政党内閣を目的とせる自由党に援助せられ、恰も南面すれば北狄怨み、北面すれば南蛮怨むの境遇に在り、閣下の現位地は亦頗る不思議なりと謂ふべし、其不思議なるは尚ほ可なり、是れ疑もなき閣下の災難なり、閣下にして苟くも進退其の機宜を誤まれば遂に属僚にも離畔せられ、自由党にも反対せられて、政界の立往生を為すの外なきに至らむ、亦閣下の宜しく熟慮すべき場合に非ずや。
 閣下漫に政界の前途を憂ふる勿れ、国家は何時までも老骨を煩はすの必要なく、後進の人物にして国家の大事に耐ゆるもの亦少なきに非ず、閣下の内閣にしてたとひ直に更迭すと雖も、之れに代るの内閣を組織するは必らずしも難事に非ず、况むや天下既に閣下の内閣に倦みて、人心変を思ふの今日に於てをや、且つ国家方に鞏固なる内閣を得て内外の政務を刷新せむことを望むに際して、微弱にして統一なき閣下の内閣をして尚ほ今後に存立せしめば、政界益々沈滞して国家毫も活動する能はざるに至らむ、是れ我輩が閣下に向つて断然たる辞職を勧告する所以なり。

      ※[#始め二重括弧、1−2−54]三十三※[#終わり二重括弧、1−2−55]
 山県相公閣下、我輩は閣下頃ろ辞任の意あると聞き、窃かに閣下が処决の時機を得たるを賀したりしに、今や又閣下が策士の言に動かされて忽ち留任の心を起したりといふを聞きては、我輩深く閣下の聡明頗る蔽はるゝ所あるを惜まずむばあらず、閣下に留任を勧告するものは自由党の毫も畏る可からざると、伊藤侯の遽かに起つの意思なきとを以て閣下の聡明を蔽はむとすと雖も是れ姑息の計を進めて反つて閣下の過失を再三せしめむとするの妖言なり、閣下が既往三年間の歴史を観るに閣下の過失は実に此の類の妖言に原本したるもの多し、閣下は元来謹厚慎密にして進退を苟もするの人に非ず、而も其の属僚を有すること他の元勲よりも多数なるを以て、動もすれば佞嬖の小人に擁せられて不測の過失に陥ること少なきに非ず、今に於て尚ほ自ら悟らずむば、閣下恐らく恢復す可からざる汚名の下に没了せむ。
 相公閣下、閣下は政治家として他の元勲に卓出したる技倆を有するに非ず、而も其の内
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